「鮭騒動」
19世紀の末に、「居酒屋」という小説を発表、アルコールの社会に与える害毒を訴えた大文豪エミール・ゾラは、ワイン業者を始め、全フランス社会から糾弾を受け、闘わねばならなかった。
ロシアのチェルノブイリで原子力発電所事故の折には、ロシアからドイツまでは放射能が高く、フランス上空を過ぎて、ノルウエーの辺りに行くと、動植物にまた放射能が高くなるという統計数字で、フランスの牧草や茸だけは放射能雲が避けたので大丈夫と、あまり気にしなかったのである。そんな馬鹿なことは無いわけで、政府や役人の発表統計は、いかに都合のよい数字だけを並べるかの好例となり、IRSNという研究機関では10年以上たった今でも、真相の解明レポートや、つい先日も記者会見を開いている。
つまり、官庁居にしろ、政治家にしろ、民衆にしろ、マスコミにしろ、フランスでも都合の悪いことはなかなか言いたがらず、真実の告発は、大変に勇気の要ることなのである。
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