岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

バイユール通りにて

【近況】

私の新しい画集が出来ました。
『パリ画集・21世紀始まりのころのパリ』
マリア書房刊
ISBN4-89511-347-7
6500円+税
この8年くらいかけて描いた、約100点の最新作素描原画を収めています。
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≪既刊≫

「新書版・私のファッション屋時代」

900円+送料
株式会社 第一出版センター(担当・大崎さん)
TEL(03)3235-3051
FAX(03)3235-0158
または、展覧会場でのみ発売
 
2003年11月4日

「パリの郵便局」

 日本の衆議院選挙で、EMS国際スピード郵便で、在外投票用紙が送られてくる。これは無事配達されたので、ホッとする。
 フランスではEMSのことを「クロノポスト」と呼び、郵便局が100%資本の子会社。1986年誕生、30キロまで宅配で送れ、通常の郵便局窓口とは違って、特別割増料金で、特別配達の制度で、国内なら翌日午前中に、外国なら5日以内に必ず先方まで届ける会社で、制度はよいのだけれど、フランスでは問題ばかり多く、選挙用紙も無事届くのかなと大変に心配だった。
 日本の選挙管理員会は、1通の送料に1500円もの、みなの税金からの出費なのであるから、気になっていたのであった。
 国際郵便法はフランスが本部で、今でもフランス語が公式条文に使われるほど、本家なら間違いないだろうと、日本の郵便局がこのEMS制度を信じているとしたら、これは大変なことなのである。
 今年になってもう3回も、私自身が被害にあったので、ハッキリ書ける。4年前も、フランスの地方の印刷会社の工場と仕事をして、原稿の校正や、往復にこの新制度を利用したが、先方は送った、届かない、郵便局にストップ、クレームの繰り返しで、何度も結局大遅れで、不愉快なこと、この上ないのであった。
 今年の3回のことも、同じケースであった。フランスのお役所制度やフランス機械製品の特徴で、制度や設計は良くできているのだけれど、末端が手抜き、思わぬことが起きるのである。宅配も、肝心の配達員が出鱈目では、何にもならない。
 郵便局の配達員は、古くから地区を担当していて顔見知り、たまたま労働時間短縮、ワークシェアリングの新入りで、とんでもないのが配属されてきたりもするが、このEMSにあたるクロノポスト社の配達人は、地区に馴染みなくプロでないのである。
 特に手紙以上に重量のある貨物では、トラックで回って書かれた番地の入口の番地を、車で通過するだけで、その区域の郵便局に、配達先不明で、ポンと荷物を降ろして、帰ってしまうのである。
 近年は、防犯のために建物への出入りを厳重にして、昔のようにオープンでなく、門番、守衛も経費は節約して置かず、アパート式個人宅は分かり難いとの弁解もあるだろうが、都会では誰でも路面に面した一戸建に住んでいるわけではない。
 信じられないことかもしれないが、通過通知も、後から荷物到着通知の郵送も、何の知らせもないのである。
 そして知らないでいると、2週間その郵便局に寝ていて、保管期限前日にその局の担当長が、期限が来ているので、受取に来ないと送り主に返送しますと、郵便で通知したり、しなかったりで、これは気分次第。子会社との契約の、引受け仕事で、郵便局には配達責任なく無関係で、郵便局の窓口でいくら抗議しても、ケロリとしている。

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赤木曠児郎氏 略歴
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