モンマルトル通り
 

「八月、みんながバカンス」

 八月も最後の週になると、レストラン、カッフェ、商店の主人たちは一足早く店に帰り、店の痛んだ所を修理したり、壁のペンキを塗りかえたり、椅子やテーブルを洗ったり磨いたりが始まる。これが百年・二百年と使い込まれた建物でも、いつも深き趣きを魅力的に輝かせている秘密だろう、毎年セッセと手入れする。ある日本通のフランス人はこう教えてくれる「パリにある日本人のレストランは、開店の始めに通え素晴らしい。二・三年すると、後は避けたほうがいい、汚れて行く気がしなくなる」。日本人の主人は、改築となると過大のお金をかけても、フルに何年も休みなく使い切ってから、また総改装工事を考えるのが、どうも違うようだ。

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