淵本 文枝

ラジまるは今日は蒜山まで行きました。
最初に訪れたのは、ひるぜんベアバレースキー場近くにある茅場です。

蒜山を訪れたラジオカー

蒜山はおよそ800年前から山焼きを行い、たくさん茅を栽培していました。
茅を育てたり、利用する慣習を引き継ごうと、2020年より蒜山茅刈出荷組合を立ち上げました。

蒜山茅刈出荷組合のみなさん

蒜山全体には90ヘクタールほど茅が自生しているそうですが、その中で今日訪れたのはおよそ5ヘクタールの茅場。
10名ほどのメンバーで、12月いっぱいまで鎌で手刈りをするそうです。

高さ2メートル50センチ以上ある深い茅野の茂みの中を進み、丁寧に刈り取り、直径20センチ位の束にしていきます。
この広さで1000束から1500束位収穫できるそうです。

収穫中の茅

今年夏オープンした隈研吾設計の「GREENable HIRUZEN」にもここで収穫された茅が採用されました。
地元の中学生や高校生なども茅刈り体験に訪れる他、アルバイトを兼ねて県外から大学生もやってきて体験するそうです。

現在は静岡県や阿蘇など広大な草原が広がる産地がある位で、茅を栽培しているところはめっきり減っているそうです。
蒜山も将来的にたくさん出荷ができるようになり、多くの文化財の保存に役立てればと出荷組合の皆さんは今日も朝から頑張っていました。

午後は蒜山下徳山の蒜山蒲細工生産振興会の皆さんを訪ねました。

蒜山蒲細工生産振興会の皆さん

蒲細工は、蒜山地域に伝わる伝統技術で、岡山県郷土伝統的工芸品にも指定されています。
生産振興会のメンバー多久間さんのお宅にある作業場で制作の工程を見学させていただきました。

蒲細工の作業の様子

蒲は自生ものがめっきり少なくなり、現在は休耕田などで栽培しているそうです。
中でも艶があって強靭なヒメガマが蒲細工には適していて、刈り取りは9月から10月の初めまで。
その後洗って、干して、選別して、やっと制作が始まります。

干して選別された蒲

また蒲細工には蒲だけでなく、シナの木の木の皮を寄った小縄をなう作業も行われます。

小縄をなう作業の様子

手提げや、草履や、鍋敷きや、花筒など、作品も様々で、20年30年たってもさらに味が出てきて、長年に渡り愛用できるそうです。

現在生産振興会のメンバーは6人と言うことで、後継者を育てるのが現在の最大の目標と言うこと。

主要工程が手作りで、技術や技法が100年以上の歴史を持ち、主要原材料が100年以上前から使われている。
それをクリアしたのが伝統的工芸品と言われます。
軽量で防水や保湿性にも優れて長年にわたり受け継がれてきた蒲細工。
これからもふるさと自慢の工芸品として愛され続けられることを願います。

さまざまな蒲細工の工芸品