会場の模様
岡山映像ライブラリーセンター
小松原 貢
東日本国際大学教授
菊池 義昭
社会福祉法人石井記念友愛社理事長
児嶋 草次郎
大原 孫三郎
第1回シンポジウム実施報告
公益財団法人山陽放送学術文化財団は6月7日(木)、岡山ゆかりの福祉分野の先駆者の足跡をたどり、彼らの生涯とその功績を明らかにしていくシンポジウム「慈愛と福祉の先駆者たち」をスタートさせた。第1回は「三千人の孤児、父となった男 石井十次」と題して「児童福祉の父」と称される石井十次を取り上げた。会場の山陽新聞社さん太ホールは福祉関係者や市民らで満席となった。
十次は宮崎県高鍋町に生まれ、1882年(明治15)岡山県甲種医学校(現岡山大学医学部)に入学。医師の実習中、貧しい女性の子どもを預かったのをきっかけに、岡山市内に岡山孤児院を創立。後年は宮崎県の茶臼原に移転し、支援者などから寄付を募って、生涯で三千人に近い子どもたちを受け入れ教育した。
シンポジウムでは、まず岡山映像ライブラリーセンターが所蔵する1905年(明治38)ごろの岡山孤児院を撮影したドキュメンタリー映画を上映。続いて、十次研究の第一人者、東日本国際大学の菊池義昭教授が「十次は孤児に教育を受けさせ自立できるようにした。十次には、勇気と行動力を備えた開拓性、情熱で克服した強い実効性があった」と十次の先見性を評価した。
また、十次の曾孫で宮崎県にある社会福祉法人石井記念友愛社の児嶋草次郎理事長は「十次の実践は福祉文化として生き続けている。これを次世代に引き継ぐのが私たちの役割だ」と話した。
岡山は日本の福祉の基礎を築いた先駆者を多く輩出している。明治期の石井十次、大原孫三郎、留岡幸助、山室軍平らは特筆すべき人物である。彼らの理念や行動力は高く評価されて継承され、その後も多くの人たちの努力により全国に先駆けた福祉制度が生まれたり、福祉施設が開設されている。