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劇場
2024年12月6日現在

上映終了

11/08 (金)~11/28 (木)
シネマサンシャイン重信(愛媛県)
11/15 (金)~11/28 (木)
kino cinema神戸国際(兵庫県)
11/15 (金)~12/5 (木)
池袋シネマ・ロサ(東京都)
11/22 (金)~12/5(木)
ユナイテッド・シネマ フジグラン今治(愛媛県)
11/08 (金)~12/12 (木)
ホール・ソレイユ(香川県)
11/29 (金)~12/12 (木)
福山エーガル8シネマズ(広島県)
12/06 (金)~12/19 (木)
京都シネマ(京都府)
11/23 (土/祝)~12/25(水)
シアターセブン(大阪府)
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Introduction

石村嘉成さんは愛媛県新居浜市に生まれ、育ちました。
自閉症と診断されたのは2歳のとき。
「人間の尊厳を保てるよう知識を身に付けさせ、社会性を育み、人から愛される子に育てたい」
嘉成さんの将来を案じ、身を粉にして療育に取り組んだのが母・有希子さんでした。
泣いて抵抗する嘉成さんに、それでも教えが行き届くようにと、心を鬼にして療育の手を止めることはありませんでした。
そこには母の無垢の愛がありました。
三歩進んで二歩下がり、二歩進んでは三歩下がり、一進一退を繰り返しながら母と子の二人三脚は続きました。
しかし――
療育の成果が少しずつ感じられ始めた矢先、石村家を悲劇が襲います。
有希子さんが病に倒れ、40歳の若さで亡くなってしまったのです。
残された嘉成さんはまだ小学5年生。療育は道半ばでした。
「有希子の願いを叶えたい」
療育のバトンは夫の和徳さんが引き継ぎました。
やがて、嘉成さんの奥底に眠っていた絵の才能が目を覚ましたのです。

RSK山陽放送が石村嘉成さんの取材をスタートさせたのは2019年。彼が25歳のときでした。
それから現在に至る彼の活躍は目覚ましいものでした。
画家としての成長はもちろんのこと、当初は「物静かな絵描き」の印象が強かった彼が、会場のファンとふれあうことで磨かれ、人懐っこい、気配りの行き届いた、笑顔を絶やさない、「人から愛されるアーティスト」に変貌してゆきました。
そんな嘉成さんが、ある日泣きました。
会場を埋め尽くしたファンから送られた万雷の拍手に、感極まったのです。
感覚はあっても感情の表現は難しいとされる自閉症。
ファンの熱い思いが嘉成さんの感情を閉じ込めてきた氷の塊を溶かし、解放したのです。
眠っていた「青いライオン」が走り出しました。

キャンバスに放たれた動物たち。
自由奔放な色彩が、見る者を圧倒します。
「自閉症の画家」と呼ばれてきました。
これからは、「アーティスト石村嘉成」として
勝負する誓いを立てています。

そのとき…。
昏睡状態だった母の手が動き、息子を抱き寄せました。

母は、2日後に息を引き取りました。
病室のベッドにメモが残されていました。

この子はどうなるのだろう。
血のにじむような努力を重ね、療育してきてやっと行動が落ち着き、
少しずつ物事が分かりかけて来たのに。
私のいない環境の中で、また元の野生児状態に戻ってしまうのでは。
自分の病より、そちらの方が怖かった。

自分の余命が幾ばくもないことを悟った母が、
最後の力を振り絞って綴った言葉。
残された息子は小学5年生。
自閉症でした。

Story

打ち鳴らされる太鼓の音。男たちの掛け声。
物語の舞台となる愛媛県新居浜市は祭りに沸いていた。
喧騒から距離を置くように、病室と思しき個室の窓を閉める女性の後ろ姿。

彼女は遠い記憶に思いをはせていた。
動物園。走る子ども。追いかける父と母。
見守るようにライオンがたたずんでいる。

母・有希子と一人息子・嘉成。買い物帰り。
嘉成は道端を這うダンゴムシを見つけては立ち止まり、
何をするでもなくじっと目で追いかける。
帰ろうと手を引いても動かない。
しびれを切らした有希子は抱きかかえて帰ろうとするが抵抗され、
買い物袋の中の生卵は粉々に割れてしまう。
嘉成は自閉症だった。

どれだけの施設の門を叩いただろう。
行く先々で返ってくる言葉は決まって
「泣かさないようにやさしく」
「その子に合わせて」
「しっかりスキンシップをとって」
どれも有希子には問題を先送りする気休めにしか聞こえなかった。
「このままで良い筈がない」

やがて、ある療育者との出会いが母子の日常を変えることになる。
「泣き」に心を乱されて療育の手を止めてはいけない。
「知識ある愛」をもって、叱らないけど、譲らない療育を行き届かせること。
何も特別なことではなく、当たり前の教育を丁寧に施すのは親の務めなのだと。
「この療育は信じられる」
意を決した有希子と嘉成の険しくも愛に満ちた療育の日々がスタートした。

もう一つのストーリー。
それが、現在のアーティスト石村嘉成を追うドキュメンタリー。
なぜ彼は動物を描くのか。
それは、母・有希子さんの導きがあったから。
自閉症の嘉成さんに「何か夢中になれるものを」と、
母子で足しげく通ったのが動物園だった。
とりわけ、嘉成さんはライオンに夢中だった。
キャンバスの中の動物たちは、母の記憶の原風景。
あふれる色彩は母と見た思い出の色。
今日も嘉成さんは、天国の有希子さんと
絵筆を握り、走らせ、キャンバスの動物たちに命を吹き込んでいる。
そして誓う。

Cast

進境著しい自閉症の画家
アーティスト
石村 嘉成
(本人)

Profile

愛媛県新居浜市在住。
2歳で自閉症と診断される。
高校の選択授業で作った版画が県内で開かれたコンクールで入賞。
2013年フランスで開催された「新エコールドパリ浮世・絵展ドローイングコンクール」で優秀賞を受賞し本格的に絵画の道に進む。
これまで地元の愛媛県や岡山・香川を中心に個展を開催。
色彩豊かな動物画が人気を博し、各会場の動員記録を次々と塗り替えている。

「何がなんでも私が立派に育ててみせる」
石村 有希子 役
小林 章子
(RSK山陽放送)

Profile

アナウンス部、報道部、ラジオ制作部などを経て、現在は再び報道部でニュースサイト「NEWSDIG」のデスク業務やラジオ番組「永瀬清子の世界」の朗読を担当。
一男一女の母。

  • 2003年 第29回アノンシスト賞 優秀賞
    「テレビ 実況・フリートーク部門」
  • 2010年 第36回アノンシスト賞 優秀賞
    「CM部門」
  • 2013年 第39回アノンシスト賞 優秀賞
    「ラジオ 読み・ナレーション部門」

Comment

有希子さんを演じて感じるのは、嘉成さんへの無償の愛はもちろん、嘉成さんからも十分過ぎるほどの愛を受け取っていたのだろうということです。
言葉はなくても伝わる母への愛。
それが療育の原動力だったと想像します。

亡き妻から療育のバトンを受け継ぐ夫
石村 和徳 役
藤原 康典

Profile

1969年生まれ。岡山県出身。俳優。
「SHIBAI」を切り口に、演劇を通した地域の活性化を目的とした集団「LOOP⑩ (ループ・テン)」代表。
発達障害者を見守る方向けワークショプなどの企画運営責任者も務める。
主な出演作は、自主製作映画「ふうがわりい」(シネマファクトリー)、映画「見えないから見えたもの拝啓竹内昌彦先生」ほか

Comment

父、和徳さんを演じ強く思った事があります。
父は最初から父であったのではなく、最愛の妻であり母親の有希子さんが嘉成さんに注ぐ真直ぐで献身的な愛情を支え続けることで、父と成り、家族と成った…そして三人で様々な困難も乗り越えたのだろう…と。
そう感じた時、ふと母や父、自分の家族の顔を思いだしました。

母の療育に応えようとがんばった少年時代
石村 嘉成(小学生時代)
高原 幸之介

Profile

2013年生まれ。岡山県出身。小学館「小学一年生」(2019年度)の専属モデルをはじめ、岡山県の情報誌、CM、PVなどでモデルとして活動。
NHK岡山放送局のバラエティ「レシピ ~私を作ったごはん~」BOSE篇の再現ドラマや、幼児番組「パ二パ二パイナ!2」(#81 ビレジアン役)などにも出演。
初の長編ドラマ出演となった本作では自閉症の小学生役に体当たりで挑戦。
演技派の新星誕生を感じさせる熱演を映像にやきつけた。

石村 嘉成(幼少期)
中本 真維

Profile

2017年生まれ。兵庫県出身。無手勝流の天才肌。
本作が初の長編ドラマ出演。難しい役どころを独創的な表現力で演じきった。

園長先生 役
八木 景子

Profile

女優・演出家。岡山県出身。
15年間、東京を拠点に役者として活動。
帰岡後は女優のみならず舞台や映像作品の企画・演出、演技講師、など多方面で活躍。
2021年に芸能プロダクション「テラエンタテイメント」を設立し次世代を担う人材育成に力を入れる。
主な出演作に映画「ういらぶ」「ハルカの陶」ドラマ「八つ墓村」等

石村 和徳
(本人)

Profile

1960 年生まれ。愛媛県新居浜市在住。
2歳で自閉症と確定診断された息子の子育てに夫婦で取り組む。
シングルファーザーとなってからは、会社経営と「療育」を両立。
2021年、有希子さんが遺した日記も多数掲載された「自閉症の画家が世界に羽ばたくまで」(扶桑社)を執筆。
現在は嘉成さんの個展の企画や、「療育」についての講演会を多数行う。

母親を優れた療育者に導く信念の人
河島先生 役
檀 ふみ

Profile

東京都出身。NHK「連想ゲーム」の名解答者としても知られる俳優。
父は「火宅の人」などで知られる無頼派作家・檀一雄。
俳優業と並行して文筆業でも活躍し、阿川佐和子との共著『ああ言えばこう食う』で第15回講談社エッセイ賞を受賞している。
近年の出演作は映画:「轢き逃げ 最高の最悪な日」(2019)、「太陽とボレロ」(2022)、「土を喰らう十二ヵ月」(2022)、ドラマ:「セミオトコ」(2019/テレビ朝日)、「初めて恋をした日に読む話」(2019/TBS)、「広重ぶるう」(語り・NHK/2024)、ラジオ:「N響ザ・レジェンド」(2017~2021/NHK-FM)など。

「子供たちは嘉成さんから大切なことを学んでいる」
竹下校長 役
竹下 景子

Profile

愛知県出身。 NHK「中学生群像」出演を経て、1973年NHK銀河テレビ小説『波の塔』で本格デビュー。
映画『男はつらいよ』のマドンナ役を3度務め、『学校』では第17回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。
また、2007年に舞台『朝焼けのマンハッタン』『海と日傘』で第42回紀伊國屋演劇賞個人賞、2015年に第66回日本放送協会放送文化賞を受賞、2019年には文化庁長官表彰を受ける。
テレビ・映画・舞台への出演のほか、2005年日本国際博覧会「愛・地球博」日本館総館長をはじめ、「世界の子どもにワクチンを日本委員会」ワクチン大使、国連WFP協会親善大使など幅広く活動している。
近年の主な出演作は、「新日曜名作座」(2008~/NHKR1)、NHKBSPドラマ「70才、初めて産みますセブンティウイザン。」(2020)、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(2021)、スタジオジブリ「君たちはどう生きるか」(声の出演/2023)など

Music

NAOTO

Profile

1973.08.15 大阪府高槻市出身。
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。
クラシックからポップスまでジャンルにとらわれない音楽センス、ブリッジをしながらのアクロバティックな演奏など華麗なパフォーマンスで人気を博す。
2005年に、EPICレコードよりメジャーデビュー、2017年には、自身のレーベルを立ち上げ、2022年に通算10枚目のCD「Get over it」を発売。
アーティストからの信頼も厚く、これまで、大黒摩季、世良公則、谷村新司、AI、押尾コータローなどと共演。
作曲家としてテレビ番組やCMなどに苦き下ろし楽曲を提供し、TEAM NACSの主宰公演の音楽監督を担当。
RSK山陽放送にはラジオ&テレビを通じ番組のテーマ曲などを提供、同社常設の能楽堂ホールtenjin9ではコンサートも開催。
また来夏には、東京国際フォーラム・A ホールでの「NAOTO 20th Anniversary Live "SERENDIPITY" 」が決定している。
音楽だけに留まらず、日本スープカレー協会広報宣伝担当理事、カレーマイスターの資格を取得。
2023年1月にはNAOTO全面監修の「スープカレー本」を昭文社より出版。
ラジオパーソナリティー、テレビ出演など、ますます進化を続けるNAOTOがさらに注目されている。

NAOTOオフィシャルサイト:https://www.naoto-poper.com/

Staff

三好 聡浩
RSK山陽放送

Profile

1992年入社。20代は生活情報番組のディレクター。
30代は営業職。40歳で制作に復帰しドキュメンタリー畑を歩む。
2021年に石村さんの継続取材に加わり、チームで制作した「天国の母と描いた動物たち~自閉症の画家・石村嘉成の挑戦~」がギャラクシー賞奨励賞を受賞。
映画では主に竹下景子、檀ふみ出演のドラマ・パートとドキュメンタリー・パートのロケを担当した。

Comment

クレジットに名を連ねた人もそうでない人も、多くのRSK社員が関わり、実を結んだのが本作です。
正にRSK創業70年の集大成であると同時に未来のRSKへの試金石でもあり、私も正視できないほど眩い光を放っています。

平松 咲季
RSK山陽放送

Profile

2021年入社。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒。
卒業制作映画「箱庭にて」で第15回TOHOシネマズ学生映画祭グランプリに輝く。
本作ではドラマ・パートを監督し(一部を除く)、全編の構成・編集を担当した。

Comment

プロジェクトに携わる機会をいただき、大変光栄です。
長年にわたり石村さんご家族を密着取材してきたRSKだからこそ制作できる、ドキュメンタリーとドラマが融合した『新たな映画のかたち』を目指しました。
見てくださった方が、自らの家族に想いを馳せ、この映画を明日への活力にしていただけたら幸いです。

花坂匡浩
RSKプロビジョン

Profile

RSKの生活情報番組「VOICE21」や「RSK地域スペシャル・メッセージ」のカメラマンとして活躍。
自然豊かな新居浜市の風景、嘉成さんが幼いころから大好きだった動物園、実際の展示会の模様や嘉成さんの創作風景など、ドラマとドキュメンタリーをつなぐ、詩的かつ臨場感あふれる映像をものにした。

  • 石村嘉成
  • 小林章子
  • 藤原康典
  • 高原幸之介
  • 中本真維
  • 八木景子
  • 石村和徳
  • 檀ふみ
  • 竹下景子
  • 監督・脚本:三好聡浩 平松咲季 / 撮影・照明:花坂匡浩
  • プロデューサー:物部一宏
  • 音楽:NAOTO
  • 原案:原憲一 / 企画:川井祐介
  • 配給:福武観光
  • 特別協賛:株式会社日光商事グループ
  • 後援:
  • 新居浜市
  • 新居浜市教育委員会
  • 四国中央市
  • 四国中央市教育委員会
  • 西条市
  • 新居浜市医師会
  • 愛媛県医師会