10月9日(水)よる8:00~8:55
「アートで街を占拠する」~岡山芸術交流 始まる~
岡山駅に貼り出された巨大な横断幕に道行く人は足をとめ戸惑いの表情を浮かべた。「岡山芸術交流2019」の開幕を告げるキービジュアルだ。岡山市北区にある旧・内山下小学校のプールには桃色の液体がはられ、道を挟んだRSK山陽放送の壁には無重力空間を漂う蛙の映像が映し出された。去年12月の記者会見で「アートで街をのっとらせていただきたい」といたずらっぽく笑った、このイベントのアーティスティックディレクター・ピエールユイグ氏は宣言どおり市街地を現代アートで“占拠"した。2016年に続き2回目の開催となる今回は、9カ国18組のアーティストが岡山市の中心部にある美術館や文化施設、あるいは公園など屋内外の会場に奇想天外な作品を展示した。
芸術鑑賞だけでなく、岡山の歴史文化に光を当てるのも芸術交流の特徴。旧・内山下小学校の校庭の一角で荒廃していた土俵に着目した。実はこの土俵、岡山県出身者で唯一の横綱・常の花(1896-1960)が、母校である同校に寄贈したもの。岡山芸術交流では、新たに整備し直して、蛇のAIロボットを展示することにした。蘇った土俵開きでは小中学生の奉納相撲が開かれ、現在、東京に暮らす常の花の玄孫も駆けつけた。“高祖父"常の花が見守っているであろう土俵で、岡山の少年力士たちと相撲をとった。
さまざまな角度から、岡山芸術交流2019の魅力を探る1時間です。
写真=会場風景