12月5日(水) よる7:00~7:54

瀬戸内に描く芸術祭~北川フラムの流儀~

 「瀬戸内海で行われているのは、まさに美術の世界最先端だ」とアートディレクターの北川フラムは言う。瀬戸内の島々では、来年春に始まる「瀬戸内国際芸術祭2013」に向けた作業が始まっている。過疎高齢化で時代に取り残されてしまった島々が再び現代美術で活気づく。地域が忘れかけた「豊かさ・美しさ」を、現代美術が浮き彫りにする。美術館では実現できない「美術の祭典」が再び始まるのだ。
一方、新潟県の山中で北川フラムの指揮のもと、この夏行われた「大地の芸術祭」(新潟県十日町市・津南町)は、前回(2009年)を25%上まわる40万人の来場者数を記録。過疎の山里に展開される作品たちは、不思議な世界を醸しながらも「過酷な地域に住み続けた人々への敬意」、そして「現代社会への問いかけ」を表している。
過疎地でこそ成立する作品、そのメッセージ・・・「そこでしか表現できない美術」の集積と構成が北川フラムの仕事だ。
来年の瀬戸内国際芸術祭は島の数も作品数も前回(2010年)に比べ倍増する。その総合ディレクターでもある北川フラムと、参加する作家や地域住民、そして作品の数々を通じ、過疎地で行われる芸術祭の魅力に迫る。


写真= 向井山朋子氏(オランダ在住の美術家)と共に伊吹島へ渡る北川フラム氏