「モネの睡蓮」

日本人の桂由美さんが、頑張ってコレクションを開いている。今までは浮世絵や光琳派の花鳥画、日本の強烈な図柄を布地に再現して売り物にしていたが、ガラリと一転。クリムトやゼツェッション、十九世紀末のアールヌーボー、西欧の柄を取り入れて日本の織柄技術の粋を尽くして再現、とても好感のもてる、着られるなと思う良いコレクションだった。彼女はブライダルデザイナーとして登場したので、オートクチュール分野に入れない変則なのが、桂由美ブランドの悩み。たった一人で闘いを挑んでいる日本女性として、偉いなと思う。パリジャンのファンも増えてコレクションも賑わい、ブチック店舖もあり作品も出来ているのだが、名前さえ取り上げないフランスメディアの偏見も相当のものである。広告収入につながるLVなどの系列だと、スグ話が変って来るのだろうなと想像するが、とにかく良いコレクションなのに、外国人は闘うしかないのである。隣に自分の靴のデザインを今回のショーに納品した日本女性が座っていた。日本からわざわざ晴れの舞台を見にきたのである。「ショーはどの位続くのですか?」と待つ合間に質問されたので「大体15分間です」と答えたら、そんな短いのと言う顔で絶句された。開幕招待時間から45分も遅れて待たされて始まるのが常識で、15分間に30点ばかりの作品、あっと言う間に終わり予想外だろうが、これ以上ダラダラと続けても、人間の集中力は続かないし逆に退屈でだれたショーと思われる、それが現在のパリコレなのである。パリ~東京12時間も飛行機に乗って見学に来て、という気持ちも分かるのだけれど。

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