ルクールブ通り 26番地の内庭(2)
「土地の習慣」
テロの用心から海外旅行は控え気味で、今年の夏休暇の観光旅行者が激減していると、業者が一様に嘆く。日本人のフランス旅行は半分位になっていると言う。ある地位にある人が日本に一時帰国されて、日本の書店で旅行・観光案内書のコーナーを覘き、「ローマとか、ヨーロッパの他の国のは平積みされているところも多くて目に付いたのに、今はパリとフランス関連は、書棚に立って置かれている程度で終わって大変少なく、関心が確実に少なくなっているのですね」と、飛行機会社のパリ・日本往復便、運行減便の、近年の風潮についてからの話題にでた。なるほどそうかなと、その場は聞いて別れたが、考えて見ると飛行機がどんどん大型化して、350人、400人乗りが飛んでいるのである。また日本の書店の、文化史、社会、地誌、歴史などの専門コーナーに行くと、フランスに関するものは、ここまでと思う位に、専門細分化され多種研究書が、翻訳されたり、選り取り見取り、ズラリと並んで欲しいものばかり、絞るのに困るほどである。つまり日本の観光案内書のレベルは、店屋とレストランの名前だけで、そのレベルのガイド本では減って、手にしなくなっているのだろうなと、逆の結論を、引き出さざるを得なかった。大切なポストにある人の体験引用発言だし、すぐ否定できないでなるほどとその時は一応思ったのだが、何時でも後から思い付く。討論が商売の代議士とか、マスコミの解説者業、どうも自分には向かないなと感じる。数字や、世論調査、統計数字なども、どうにでも、もっともらしい結論が導き出せるので、いつも用心、用心である。
(PS)追記 あまり見事だったので・・
パリ日本文化会館で9月9日より、10月15日まで、100点近くのポール・ジャクーレ(1896-1960)、生涯日本に住んで、東洋の風俗を、モダン浮世絵作品に手がけたフランス人画家の、展覧会が開かれている。同じく東洋に赴任した、仏人外交官夫妻がアメリカ市場で買い集め、個人コレクションしていたものというが、一見の価値あり。特に同じ人が集めていた、同時代の欧米人作家達による17点の、版画や日本浮世絵による作品の附属展示も、珍しく興味深い。
2016年9月10日 赤木 曠児郎
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