「2月のパリジェンヌ」

 日本では2月14日のバレンタインデーのチョコレートで大騒ぎをするが、聖バレンタインは三世紀の人で、「恋人たちのお守り神」となっているカトリックの聖人。いろいろな習慣が地方にあるが、チョコレートは東京・新宿の伊勢丹百貨店が、あるメーカーと組んで1958年(昭和33年)にチョコレート売り場の催し宣伝に、ヨーロッパの風習をヒントに言い出したもので、あっという間に日本全国に広まってしまった日本製である。逆にこちらの人は、「恋人たち」の守護神の日だから、ハートと愛の言葉の手紙を書いて交換したり、村の青年団が同村内の、その年の男女若者たちのカップルを決めたりする風習の地方やいろいろあるが、チョコレートは知らない。大体ミルクチョコレートの出来たのが19世紀のことだから、3世紀の聖人さまと関係があるわけがない。恋人の間で贈り物をするチャンスの日なので、モーションはかけられる。フランス女性など常に贈り物は貰うものと決めているから、「チョコレートくらい寄越せ」といったりすると、「何で?」と目を丸くする。チョコレートは年末の贈り物か、春のイースター(復活祭)の季節が一番売れる。恋人たち、商店、花屋、レストラン、劇場など、聖バレンタインの贈り物をしましょうと、売り込みキャンペーンは盛んである。

2016年2月8日 赤木 曠児郎

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