ビアデュック・デ・ザール
「またもう、2月だ!」
彦根の「伊呂波会」という、自費でアマチュア狂言師の人達の公演が、パリ大学都市日本館の講堂で開かれたのに、知人からの紹介招待でかけつける。大蔵流の木村正雄さんという83才の方が主催されている研究グループである。能狂言と一体化して言われる、お能に付属したものでなく、狂言はフランスの13・4世紀に残る、ファブリオ(中世の民衆滑稽話、西洋の落語と紹介されることもある)と、大変に良く似ている。狂言には、狂言だけで独立して公演される狂言もあると言うのが、木村師匠の説明。心理描写のような演劇的要素が加わって、こちらの人にも大変に興味深いようだった。フランス人が沢山よく集まっていて驚く。これなら分かるし、この会場のバック一面が、フジタの金箔の大キャンバス壁画。狂言衣装と調和して、引き込まれるような、大変な効果であった。
三日後に、パリ日本文化会館で、宝生流と大蔵流のお能と狂言の、人間国宝の方も舞われる会も、比較的本格の能舞台に近いものが組まれて拝観したが、パリではいろいろ見られて有難い。
日本が寒波で、フランスは異常に暖かな12月と1月だった。地球は回っているので、その内こちらにも寒波も回ってくるのが通例、構えていたら本当にやってきた。氷点下マイナス8度だとか、今度は異常に低い。何時まで続くだろう。大特売シーズンも過ぎたし、報道は60日後のフランス大統領選挙のことに、集中である。
2012年2月12日 赤木 曠児郎
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