シャルル・ミッシェル広場
「すっかり黄金の枯葉の秋」
秋、いろいろな活動が盛り沢山のパリである。偶々私の見た日本関係の催しでは、パリ三越エトワールの最後の催し、「歴代沈壽官展」は四世紀間、15代にわたる回顧展で、見応えのある感動物である。三年ばかり前、現代薩摩の陶芸展があったが、いろいろな系列の作品で、薩摩という統一イメージが沸かず、けばけばしいだけの印象だったが、一家の歴代作となると、繊細な美しさに打たれて、薩摩の焼物を見直す。三越パリ店も9月で閉店となったが、1992年以来続いた凱旋門脇の超一等地にある、焼き物王国日本や日本画、日本美術にとっての超一級橋頭堡が失はれるのが、実に惜しい。
パリ日本文化会館では、久方振りに見事な京都の伝統工芸の作家展である。1900年から1930年の間の近代作品に限定して、出品選定されていて、テーマがはっきりしているのが興味深い。レベルの高い工芸家の仕事が心に訴える。パリに留学していた浅井忠が持ち込んだ、当時のアールヌーボー様式の世界的展開に、京都の工芸作家たちがどのように反応していたか、日本技術の粋とモダンさの組み合わせが、独特の雰囲気のものとなって、感動を呼んでいる。キュービズム(立体派)の時計まであるのは、驚きだろう。ただし、「流行を取り入れた」と言う言葉だけは使わない方が良い。当時の動きの世界的流れであって、○○に学んだ、流行を取り入れたとなると、これは物真似で、フランスでは拒否反応を起こしてしまう。真似なら見る必要が無いと、判断される社会なのである。
2010年11月12日 赤木 曠児郎
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