「2010年」

 年末ピエール・ベルジェ氏が、テレトンは集め過ぎである、四千人の患者のあの病に、そんなに必要なはずがないと、宣言して、社会が騒然となった。ベルジェ氏は、かつてサンローラン社の共同経営者で、画家のベルナール・ビュッフェを抱え、ジャン・コクトーの権利も持ち、バスチーユ・オペラ座の支配人も政府から依頼されていた、著名実業家である。サンローラン時代も、押しかけるマスコミやカメラマンを、行儀の悪いのは叩き出す位のことはして、物議を醸す人であったが、昨年はサンローランとの美術品コレクションの競売売り立てを大成功させたり、屋敷の譲渡も成立、話題に常になる。社会全体の風潮に、堂々と反対して正論を張る、周りに常に同調しては、無難を考えるわれわれに、凄いなと教えてくれる。風車に立ち向かうドンキホーテに譬える人もあるが、意見の言える社会が大切なのではと思う。

2010年1月11日 赤木 曠児郎

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