「私の超整理法」
フランスの外国人記者会に入って、もう随分になるが、今年の総会は、パリから370キロ離れたボージュ県のプロンビエールという温泉町で開かれた。温泉というと火山国日本だけのように思われがちだが、アルプス山脈の終わるあたりには、ヨーロッパにも意外と沢山の温泉町があるのである。このボージュ県は、アルザス地方に入る手前の山林地帯で、パルプ産業を中心に発達、フランスで一番就業率が高い、リッチな県である。フランスのミネラル飲料水の4割も、この県から出荷されていて、それで地方温泉町の紹介に、外国人記者会の会場を提供、招待して宣伝しようと招いた次第。年次総会であるから、80名が参加、TGV新幹線で2時間、一泊、東京から熱海でといった気分だろうか。山間の谷間に、ローマ植民地時代からすでに開かれ、88度の熱湯が地下から湧き出している。17世紀ころから始まった温泉施設が谷の両側に段々にずらりと連なり、それぞれの窓に19世紀風のバルコンの鉄柵手摺が続く光景は重厚で、千のバルコンの町ともよばれている。リューマチや関節の病によいとされ、歓楽より、静養、医療治療滞在が中心で、ナポレオン三世が好んで開発したので、壮麗な館が多いのに、足場の便が観光ルートから外れて、あまり有名でない静かな町で、それで昔の魅力が保存されていたのである。
フランスに新聞新聞組合が出来て135年、設立65年の歴史のフランス外人記者会、総員656人の会員リストが毎年発行されているが、まともに会費納入者が212人、後は不払い徴収不能とか。これでまともな会といえるのか、何処でも同じなのか、私も払い続けるが、絵描きの本業となったOB会員、不思議な気分で帰ってきた。
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