コロンヌ通り
ロシェシュアール大通りと
クリニァンクール通りの角
 

「デパートの寅さん」

 金持ちには、社会的にも、宗教的にも、慈善、恵みの教えや習慣が、義務として課せられていて、諸外国では色々な慈善事業を心がける。百貨店も利益で病院を寄付して経営したり、労働者の待遇、生活改善、文化に大きな社会的貢献を果たしたのである。日本では慈善も、宣伝や免税の便法に、間違えられているようである。皆と同じ値段で買うことで、他の豊かでない人も潤う社会への貢献と考えるべきなのに、沢山買ってやるから、売りたいから、負ける、負けろでは、競争が先に出て何かが間違っている。不当な安売りをして集めても一格下、何か後ろめたい思いは誰の気持ちにもあるはずである。厳としていなければならない百貨店が、営業努力は別として、値引きに走るから魅力を失ってしまって、自分の価値で、百貨店の本来に帰るべきではないかと、思えて仕方なかったのである。後で引けるなら、最初が高いのが道理である。今でも百貨店は、パリでは中流庶民の買い物にゆくところとして、常に賑わっている。

2009年10月20日 赤木 曠児郎  
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