「2009 新年」
パリの日本文化会館では「和」という展覧会が開かれて、現代日本の生活の中に現れた、モダンデザインの日用品171点が集められて展示されている。50年も昔、東京で暮らしていた頃、銀座松屋百貨店のモダン用品デザインコーナーが好きで、他にはないユニークなフロアーで、よくショッピングに通っていたが、それを思い出し、これが現代の日本人の生活文化なんだと、柏木博さんの構成で、気分のホッとするような、よい展覧会である。一月末までまだ見られる。
国立装飾美術館ホールでも、12月中旬10日間、「感性」とのテーマで「日本のデザイン展」がひらかれた。ジェトロ日本貿易振興機構が主催で、オープニングには経済産業副大臣が出席、日本のデザイン力を見直し、輸出の目玉にしようとの国策事業であるから、税金をたっぷり使っての大掛りで豪華な展示であった。104点のテーマ作品に、業界メーカー協賛の展示コーナーで、こちらも全体200点規模の出品。学者、業界の権威者が集まって、テーマの解説とか、理論説明ばかりに、妙に力が入っていた。良いデザインとは、見ただけで使いたくなったり、一目で分かるものでなくては、理屈で納得して使うものだとは思えないし、いかにも国家行事であった。
民芸だとか、伝統美術は美術展示品だが、日本人の生活の中に実際に生きるデザインが、750に及ぶフランス各地で開かれた日仏修好150周年行事の催し企画の締めくくりだったのは印象深い。
これからの一ヶ月は、特売セールスシーズンのパリである。
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