ムーラン・ルージュ(2)
ムーラン・ルージュ(2)
 

「年の瀬」

 初夏にカンヌ市の開く映画祭は、有名で60数回目。ノルマンディ地方のドービル市も追いかけて、秋口にアメリカ映画祭を開き、有名大スターが来て、派手なギャラなどで話題をまく。春先の季節が空いているので、市も考えてアジア映画祭を作り、今年で10年目。スタートから韓国が力を入れていて、韓流映画が強いが、日本大使館も文化コーナーを開いたので応援、その存在を知ったのだった。今春、日本の役所広司と、映画音楽の久石譲の二人に特別賞トロフィを出し、本人出席したのだが、まだマスコミの関心を引くには今一歩だった。秋にはパリ市で「キノ太陽」賞が、日本の現代映画を対象に開かれた。パリ郊外のある都市の文化企画で始まったが、今年で三回目、殆ど存在が知られず、パリの日本大使館が文化事業として力を入れるようになって、われわれの目にも、今年から少しづつ触れるようになった。昨年は、桃井かおりさんが招かれて、パリ日本文化会館で記者会見を開いたのだそうだが、日本人の記者は誰も知らず、10人に足りない記者で、文化会館が職員をあわてて動員して、20名ほどにして格好つけたという話を後から聞かされる、そんな程度のこの映画祭の広報だったのである。今秋は奥田瑛二監督が招かれて主賓、シャンゼリゼの映画館で開幕。段々かたちが整って来ているが、パリでの現代日本映画祭と定評になるには、もっとオープンにして、もう数年必要だろう。日本からの海外駐在員のみなは、それぞれ自分の仕事を持っているので、学生の頃のように、昼間から映画館という訳にも行かない。
 パリの日本人会のホール・事務所も、シャンゼリゼの家賃の高騰に耐えかねて、今月から近くに移転。今年も暮れて行く、来年はよい年を祈りつつ。

2008年12月8日 赤木 曠児郎  
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