タンプル市場
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「マロニエの季節」

 秋に入って、もう一斉にいろいろな催し物のプログラムがにぎやかである。フランスでは学校は皆のためにあるので、授業料は安いし、新学期には子供一人頭ごとに支度準備助成金も配分される。それで9月には児童向けの学用品や、衣料品の一斉売出しがはじまるのである。久しぶりにオーボンマルシェ百貨店で、日本の女流漫画家花村えい子先生にお目にかかる。昨年私たちの団体展覧会に、日本の漫画美術を紹介する意味で、日本コーナーにお招きしたのが縁で話がすすんで、この新学期の目玉にボンマルシェ百貨店に、少女向け漫画花村えい子グッズコーナーが、オープンされているからだ。日本には習慣が知られていないようで、「そうなんですか」と先生目を丸くされる。良い機会がうまれて、本当によかった。
 ソトーとダイドーという名前で、布地の新作展示を開くとの案内を頂く。聞いたような名前で、蘇東染工さんに、大同毛織さんというのを50年も前に、日本にいた頃知ってましたがというと、それがカタカナ名になったので、昔の名前をだされて向こうが驚いている。梶原加奈子さんという、1973年生まれの女性デザイナーに依頼して、新作製品を出し始めて二回目で、パリに展示したのだという。デザイン学校のホールだったが、バブルの終わった後の立ち直りに、まず繊維業が戻り始めたのかと嬉しい。1960年代敗戦後日本経済の立ち直りの輸出の先陣は繊維で、日本繊維交渉などの取材を経験しているからと思うのである。いま日本のハイテクノロジーの繊維製品開発には、注目が集まっているのである。現在、繊維業界のデザイン事務所や、問屋・コンバーターは、ヨーロッパでは立ち行かなくなって、消えてしまっている。
「珍しいですね、いまどき」「そうなんです、あまり他に見ません」イッセイ・ミヤケ以来、日本の新素材で、輸出カムバックの先陣を、また切っているのである。

2008年9月8日 赤木 曠児郎  
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