サンティアサント通り
ムーラン・ルージュ(1)
 

「近頃のこと」

 先週の話題でちょっと興味あったのは、前々フランス大統領のミッテラン未亡人が、自宅にあった故大統領の身に着けていた遺品を全部売り払って、自分が主催している人権団体「フランス自由財団」の基金に入れたことだ。帽子、ネクタイ、靴、スリッパなど368点。買い得は仕立て中の、材料は飛びっきりの、仮縫いの終わっていない背広や、コート数点だとか、競売場での展示会と売り立てが開かれた。トレードマークのようだったソフトハットは、フランス社会党が書記長名義で、1万ユーロ(約170万円)で落札。次はアーミンの毛皮の飾りのついた弁護士ガウン、ほぼ同額で、ある弁護士さんが落札。とにかく全体で6万から9万ユーロになればと、予定されていたが、15万ユーロ(約2千5百万円)の落札総額で好成績だった。子供のある愛人の元で亡くなった大統領、フランス人は個人の私生活は余り気にしないので、不思議なものだが、(先週も現職大統領が離婚して、再婚)、未亡人が見たくないもので整理したのだろうかと、普通なら勘ぐる。一昨年は、自分のために大統領夫人時代に仕立てさせた洋服を、全部整理して同様競売で売り払い、同財団に寄付している。特典で、フランスのイメージと業界振興のため、補助金が出て安くオーダーできるらしいが、イブ・サンローランとか、オートクチュールのオーダー服ばかりで、分厚いカタログまで出来ていて、驚いたものだ。

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