「四月」
パリの日本文化会館で1夜だけ、京都の西川千麗さんという女性日本舞踊家の「カミーユ・クローデル」の踊りの公演があった。何で日本舞踊で西洋の女性彫刻家のことを、珍奇な物好きなと、少し用心していたのだけれど、紹介者とか色々関係があって出席した。この夜は折からの歌舞伎団十郎パリ公演千秋楽の日でもあるし、知人の日本人ピアニストのサル・ガボーでのリサイタル、何も彼も同じ時間である。沢山いるクローデル家一族も招かれて集まり、超満席で入場できない人もある始末。吉永小百合の「キューポラのある街」鋳物の町川口市で、この4月末から5月、市記念行事として同じブロンズ鋳物の美術品としてカミーユ・クローデル彫刻展を開くところで、知人のポール・クローデルの孫、カミーユ・クローデルの姪の娘で、研究者兼法定相続人のレーヌ・マリ・パリさんと並んで見る。黒に金ラメ入りのブロンズのような布の着物、黒バックに白い手が生きて、金扇持ってポーズが決まる度に誰でも知っている、あの彫刻だとハッキリ分かる振り付け、日本舞踊でもこんな表現ができるのだと、日本人もフランス人も感心して共感の理解が生まれ大拍手だった。人間国宝のこの踊り手のお師匠さんの、素踊り公演を同じ会場で拝見しているが西欧人には訳の分からない、エキゾチックな興味だけなのが普通である。折からの歌舞伎、週間催し情報誌の表紙広告にはなったが、一切劇評がない。在住の演劇評論専門家が、注意して見ているんだが「これは無視」と同じですと嘆く。日本から取り巻きのファンの団体が押し掛けて占拠、日本政府助成金も出るし一座の公演的には成功でしょうけれど、どれだけフランスの人たちに見られているのでしょうか、この実情を日本で是非知って欲しいと、疑問をこの人は言う。
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