リヨン駅(赤)
 

「年末」

 フランスは郊外に起きた若者の暴動から一ヵ月が過ぎた。
 政府が制度を変えたり、民営化、合理化、人員削減すると言うと、利権がからんで必ず反対する人や組織がある。そして、デモとかストが起こる。同じ11月でも、全フランス国鉄の3日にわたるゼネスト、パリの地下鉄の間引きスト、マルセイユ市では48日間も市営交通機関ストストップ、その他、郵便局、病院、学校などの国営企業の組合の起こす年中あるストライキは、迷惑する人があっても、労働者の権利の要求なのだから、フランス名物で大変に大目に見られている。非難やまたかと報道されることもない。
 この国では時間の遅れは当たり前のことで、テレビのニュース、番組だって時間通りに始まったことは無く、前のが終わって次のが始まるのが当たり前で、長くやるほどやり得気味になる。
 品物の納品時期や約束ごとの遅れ、仕事などの時間の当てにならないこと、大会社から職人まで、 気儘なのが日常で、これがヒューマニズムとかで、かならず長い理由の言い訳がある。喋ることに熱心で、フランスでの物事は全て予定より必ず遅れるのである。
 約束や時間には出鱈目、ストはやる、子供たちだって親たちを見習って、鏡のようにやっているんだと、一外国人には思えてしまうのである。


2005年12月4日 赤木 曠児郎  
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