シャンゼリーゼにて(旗竿入り)
 

「デモのパリ」

 みんな不便をブツブツぼやきながら、パリジャンの生活は社会保障され、その日その日を過ごしているわけで、6月なのに異常気象で真夏の気温、太陽は夜10時近くまで沈まず夏至間近か、カフェのテラスは深夜まで若者で一杯。もうすぐ始まるバカンスへの期待で町は浮き浮きしている。一番人出が多く、近年人気なのはポンピドー文化センター東側からボージュ広場にかけてのマレー地区。取り残され古ぼけた一帯で忘れられたような地区だったが、モダンビルの建たないゴミゴミしたところが、よき時代へのノスタルジーでホッとさせるのだろう。ヨーロッパ人の旅行者も集まり、東洋、黒人系の顔はあまり見ない。この他セーヌ左岸カルチェ・ラタンとか、各所にも人の集まっているところがある。
 その反対なのが、このところ新型肺炎SARS病の心配で、日本から海外旅行する人は極端に減っているから、一頃日本租界とまで言われたオペラ座、サント・ノーレの界隈やシャンゼ・リーゼは空いていて、夜など人の気が少なく異常で、住んでいても驚くことが多い。パリ盛り場地図は移動するのである。

2003年6月18日 赤木 曠児郎  
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