マルコ・ポーロ 『東方見聞録』と大航海時代―
地球規模の文化交流のはじまり
モンゴル帝国と大航海時代。この二つの大きな時代は、マルコ・ポーロ(1254-1324年)と彼が残した『東方見聞録』を一つの結節点としてつなげることができます。
1271年、ヴェネツィアを出発したマルコ・ポーロは、足かけ17年を中国で過ごしました。ヴェネツィアに帰還後、彼が口述筆記させたのが旅行記『東方見聞録』です。この壮大な旅行記は、大航海時代(14世紀初頭から17世紀半ば)に活躍した人たちのガイドブックとなりました。この書に描かれた幻想的、かつ富と黄金に満ちた東洋(中国とジパング)のイメージこそ、大航海時代を切り開く冒険心の原動力でした。
大航海時代は、世界史上はじめて人・物・文化の交流が全地球規模で始まった時代です。日本にまで到達したその波は、南蛮文化として華開きました。
本展では、シルクロードの発展から、モンゴル帝国の時代、そして大航海時代にいたる文化交流の姿を、奈良県天理市の天理参考館と天理図書館の貴重な所蔵品約200点でひもときます。本展鑑賞により、彼らの夢と冒険の高揚感を追体験していただければ幸いです。